今日ではごく少数の多国籍企業が商業種子市場、農薬、殺虫剤市場を支配している。モ○○○トだのカ○○ルだのといった会社は利潤を得るためには何だってやってしまう。そして世界銀行やIMFも、輸出に有利な構造調整政策を通じて彼らを手助けしてくれる。それがどれだけ第三世界の地域経済や文化、貧しい農民の生活、生態系を破壊してきたとしても・・・。
この本の著者のヴァンダナ・シヴァはインドの環境活動家。
紹介される事例は主にインドにおける話だが、おそらく第三世界のどの国でも当てはまる話だろう。国が独立しても、支配者が帝国から多国籍企業に変わっただけで、相変わらず貧しい人間は支配者の都合の良いように酷使され捨てられる存在のようだ。
驚いたのが、マスタード油への毒物混入の話。インドで広く使用されていたマスタード油に広範囲に不純物が混入し、中毒死にいたる事故が起こった。これをきっかけにインド政府は大豆油の輸入の解禁、パッケージされない油の禁止の政策を進めた。マスタードオイルが広範囲に支えていた地域経済や伝統文化は大きなダメージを被った。ラジャスタン州油脂業界連合はこの陰謀がマスタード油の取引を台無しにするために仕組まれたものだと主張し、「多国籍企業の見えない手」が一枚かんでいると考えている。真偽のほどは分からないが、これによって利益を得たのは多国籍企業だということは間違いない。
他にも集約的なエビ養殖事業が、環境破壊・マングローブ林の破壊を引き起こしている話や、貿易自由化計画の下で屠場の設置・食肉輸出が推奨され、牛に依存してきた農村経済と農村の生活を破壊している話など、同様の構造の下で繰り広げられる嫌な話が色々。
更に、多国籍企業に悩まされるのは第三世界の農民だけではない。多国籍企業は植物と種子を企業の発明として扱う知的所有権のシステムを通じて、種子を独占しようとしている。スコットランドでは農家が種芋を育てて売る行為が、米国でも農民対農民の直接交換が、非合法となっているそうだ。シヴァさんは「緑の革命」に対しても厳しい評価を下しているが、遺伝子工学についても、生物多様性を破壊し、除草剤や差駐在の利用を増大させ、遺伝子汚染のリスクを拡大するとして批判的だ。新しい技術には功罪の両面がある。彼女の批判が妥当と言えない事例もあるだろう。しかし同じ企業が種子も農薬も除草剤も化学肥料も売りつけているのだから、客観的な調査研究を求めることにも無理がある。バイオテクノロジーや遺伝子組み換え作物が、世界を飢餓から救うと言った宣伝には気をつけたい。
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